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ご意見ありがとうございます

■ちきりんさん■

「国を開け!」、とタヒチでビール飲みながら思った。

3ヶ月前に、衝撃的ともいえる20代&30代の人口推移をグラフ化した「年功下落の時代へ!」というエントリを書きました。そのひとつ前にも同様に人口構成の変化と日本社会のありようについて書きました。

<過去エントリ>
・「年功下落の世界へ!」→ http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20110325
・「日本の将来」→ http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20110323

この、「日本の将来を規定する最も重要な要因は、人口構成の変化だよん」(大事な注→人口減少は問題ないとしても、人口“構成の変化”は大きな問題)という話は、ここ数年いろんな人が指摘しはじめており、もともとこの分野に関心があるちきりんとしては嬉しい限りです。
ただ、前エントリで紹介したベストセラー『デフレの正体』は、現状分析はそのとおりという感じなんだけど、最後に処方箋として示された案がイマイチちきりんの感覚とは合わず、「うーむ」と思ってました。
そしたら今回、タヒチの水上コテージのデッキチェアでビール片手に読んだ『2100年、人口3分の1の日本』
2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)
(2011/04/28)
鬼頭 宏

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という本の分析と提言が、ちきりんの感覚ととても近かったのでご紹介します。
これは歴史人口学者の鬼頭宏氏が書かれた本で、読み始める前はそのタイトルから「2100年とかあたしにはなんの関係もないなー」と、あまり興味が湧きませんでした。今でも「90年後に生きてる可能性はゼロ。マジでどうでもいい。」とは思いますが、本の内容はとてもおもしろかったです。

★★★

たとえば、日本は産業規模が人口増加においつかなかった戦後すぐに加え、1970年頃にもまだ人口抑制策を国策として推進していたという指摘。本の中に当時の新聞のコピーが掲載されており、そこには大きな見出しで
“人口ゼロ成長”を目指せ
子供は2人が限度
と書いてあります。この後、政府とマスコミが束になって「出生率を下げよう!」キャンペーンを行ったその結果が大成功して今の事態になってるのだ、というのは、「そうきたか!」という感じでした。

また、過去30年のあいだ「結婚した夫婦の出生行動はほとんど変わっていない」ので、出生率が下がっているのは顕著な晩婚化と非婚化が原因だ。だから今の子供手当や保育待機児童対策などは出生率をあげるには役立たない、という主張も納得。
著者によれば必要なのは「若い人の就職を支援したり、家族形成への意欲を高めることだ」とされていて、ちきりん流にいえば、政府がやるべきなのは30代未婚男女に「合コン手当」をばらまくとか、電博さんを大動員した「貧乏結婚また楽し!ぽぽぽぽーん」みたいなCMを作って大量に流すとか、そういうことだと理解できました。

さらに、ちきりんの持論である「限界集落がなくなるのはしゃーないでしょ。 税金つっこんでそれに抵抗するなんて超無駄」という意見と(多分ほぼ)同じことが「過疎地からの積極的な撤退」というお上品な言葉で表現されています。「そうか、こういう言い方をすればいいんだ」と、たいへん勉強になりました。

他にも、3世帯同居が減ってきたのは親の寿命が延びたからだ。大正時代には親の老後は5年から10年しかなかった。それくらいなら同居や世話もできるけど、90才まで老後30年、同居したり世話をするのはいくら家族でも無理がある、という指摘も「たしかにね」と思わされます。
また「こんなに寿命が延びたら、永遠の愛とかありえませんよ。老後は老後で別の人とつきあう時代がくるんすよ」ということも、(本の中では、このことだとは気がつかないくらい上品な表現で)書いてあります。

100年後には日本に外国人が5000万人やってきて人口の3分の1が外人だぜ、的な指摘にいたっては「もしかしてこの著者も“混乱Lover”?」と思ったり。
「アジアの血縁関係がもっと密になるよ」とか世界の人口100億人の世界に関する考察も、思考実験としてとてもおもしろかったです。ただ、「筆者の知人である40代女性の話では、アジアの美青年と老後をすごせるのであれば、自宅を譲ってもいいと考える女性すらいるようだ。」と書いてあるのにはびっくりしました。

そんなん当たり前じゃない?

「すらいるようだ」ってか、そう思わない40代女性なんかいるのか、日本に?って思った。こういう社会の現実に疎いところが学者さんですね。

★★★

で、ここから先はマジメに書くと、一番ちきりんの考えとぴったりしたのは、「人口面で日本が大きく成長できた時期は、常に国を外部に開き、新しいモノを受け入れた時期であった。」ということが過去の歴史の分析から導き出されているという点にあります。
この本によると日本では、縄文時代からの一万年の間に4回の人口の増加期と減退期があり、今はその4回目の減退時期だと。そして、「海外から新しい技術や物産、社会制度が導入されて新しい文明システムへと転換していく時代に人口は増加している。」という指摘は、(今度はいい意味で)まさに研究 者ならではの洞察だと思いました。
だって普通の人は「過去1万年に何が起こったか」なんて気にしてられないっしょ!?
我が国の国会議員なんてみんな「首相が辞めるまでの2週間から2ヶ月」にしか関心がないんですよ。そんな中で「いちまんねん」の分析してるってすごいです。

ところでこの本のポイントはあとがきにも書かれているように、現実的な未来である2050年ではなく2100年の姿を考えるのにチャレンジした点にあります。
90年先を精緻に予想するなんて現実的ではないので、そのためにかえって発想が拡がり、より大胆な提言が可能になり、ちきりんがよく言うところの「極論の妙」が楽しめる本になっているんです。
そして(これも著者の方がいわれているように)2050年はもうどうにもならないけど、2100年は変えられる可能性があるんだよ、というメッセージも前向きで(基本的に楽観的な私には)好感がもてました。

著者は「歴史人口学者」ということですが、人口の歴史について研究するというのは、こういうことなのねーと、その知見に感心しました。しかも読みやすい文章だったので、南の島でも読みおえられたというわけ。
少子化対策に取り組む国会議員も、もうちょっとこういう学者さんの思考とか研究成果を勉強すればいいのにと思います。2ヶ月先に首相が辞めるかどうかが人生の一大事な立場では、「一万年前からの日本の少子化の歴史」を自分でひもとくのは無理ですよね。
でも国会議員ひとりに月に130万円(歳費)と100万円(文書通信交通滞在費)も税金から支払われている中の0.032%、たった740円だせば歴史人口学の専門家がそれをまとめてくれたものを読めるわけですよ!(あたしは献本されたので、その740円さえ出してないんだけど。)

もう一度、書いておきましょう。変化を受け入れ、外部へと国を開くという姿勢無しに、日本の人口は増えません。
未来は変えられる!

そんじゃーねー!

★★★
この本はマジお薦め!

(出典:ブログ「Chikirinの日記」2011年6月23日)



■花本武さん■

「セクシィ古文」について

視点をズラせば、全然違って見えてくるもの。どんなにか退屈だとおもってても、実はこんな切り口もあります、という提示が魅力的であれば、とたんに深みにはまる。それを古文に応用して実証している「セクシィ古文」は、アカデミックのアクロバットである。
セクシィ古文 (メディアファクトリー新書)セクシィ古文 (メディアファクトリー新書)
(2010/06/29)
田中 貴子、田中 圭一 他

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エロティシズムに興味が全くないって人は、つまり人間に興味がないのと同義のようなもので、エロいことを過剰に遮断しては、人間らしさを失いかねません。エロすなわち精神健康のバロメーターと言ってもいいはず。
エロい目で古典をあらいなおしてみれば、あるわあるわ、といった風に田中貴子先生が次から次へとそれっぽい古文を紹介してくれます。それらを現代語訳するのがあの田中圭一先生であることが本書最大の肝。これ以上の適任者はまずいませんし、二人の田中は対談でも息ぴったり。それにつけても圭一先生の近影、エロい顔してます。
貴子先生は古文読解において、想像力をフル働かせることを推奨なさっていて、それには「エロい妄想力」が突破口になると示唆してます。日本文学の礎を学ぶにあたって、人の根源的な欲望を媒介にするという高橋名人もびっくりの裏ワザをこの新書は、キメてくれてます。

(ご寄稿)



■山形浩生さん■

新幹線を運転、人妻、カツ丼

なんだか新書シリーズを出しているメディアファクトリーが、出す新書を送るので、ウェブなどでコメントしてくれ、とのこと。ほめる必要はないとのことなので、ここでやることに。特にお金はくれないとのこと。

■[メディアファクトリー]早田実『新幹線を運転する』

新幹線を運転する (メディアファクトリー新書)新幹線を運転する (メディアファクトリー新書)
(2011/02/28)
早田 森

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新幹線を運転する (メディアファクトリー新書)
• 作者: 早田森
• 出版社/メーカー: メディアファクトリー
• 発売日: 2011/02/28
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新幹線の運転手さんにあれこれ話をきいた新書。運転手さんの一日とか、車種ごとのかんどころとか、おもしろいところもあるが、特に実況部分とかはだれる。また、個々の運転手さんの個人史をいろいろ聞かされても、マニアではないので「ふーん」という以上の感想なし。他の電車とどうちがうのか、とかも少ない。むかしの国電で山間部の雪で機関車二台つけた列車運転とか、気の遠くなるような(正直いってそんな神業職人芸に頼るシステム設計自体がまちがっているとしか思えない)汽笛によるシンクロ運転なんかしているけれど、それと比べて難しさはどうなのかとか、ヒアリングを受けた運転手の個人史では多少ふれられているけれど、物足りない。新幹線の運転手に対する関心といえば、7割は新幹線に対する関心で、運転手その人自身に対する関心はせいぜい3割だと思うんだが、本書はその鉄道についての関心が非常に弱くて、人物のほうで話をまとめようとするんだよね。新幹線の運転手になりたかったとか、テーマそれ自体にあこがれのある人なら楽しめるかも。すごく深く勉強できる本ではなく、流し読みすておしまいの読み捨て本。が、この新書のコンセプトもそういうものだと思うので、それが特に問題というわけではない。
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■[メディアファクトリー]本橋信宏『なぜ人妻はそそるのか』

なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史 (メディアファクトリー新書)なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史 (メディアファクトリー新書)
(2011/06/29)
本橋信宏

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なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史(メディアファクトリー新書)
• 作者: 本橋信宏
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AV出演の人妻インタビューとかしている人が著者。中身は、人妻もののアダルト作品(映画、小説、ポルノ、AV)の歴史みたいなもので、後半になると不倫体験者の話なんかも出てくるが、刺激を求めてAVに出たがる人妻とか、妻を不倫させて喜ぶ旦那の談話とか。本当の不倫や人妻売春の歴史をたどるわけでもなく、その背景をきちんと追うわけでもなく、こういうのに興味あるなら普通に人妻ナントカとか夫の目の前でシリーズとか、AV見ればいいんじゃないですか、という感じ。だいたい、人妻がそそるかどうかは、その人(見る側)の嗜好次第でしょうに。でもたぶんこの本に、ものすごく深い洞察を求めるほうがまちがっていて、週間大衆の「不倫人妻ちょいエロで下世話な興味でササッと読み捨てられればそれでいいんだろうし、その意味では成功。
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■[メディアファクトリー]中町綾子『なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか?』

なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか? (メディアファクトリー新書)なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか? (メディアファクトリー新書)
(2010/12/21)
中町綾子

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なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか?(メディアファクトリー新書)
• 作者: 中町綾子
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テレビドラマにおける、現実にはないけどいろいろお約束な設定がある。それをあれこれ羅列したもの。豪雨の中で怒鳴りあう恋人たちとか、めがねを取ると美人になるさえないヒロインとか、職場のお局様とか、学園モノの不良先生とか、水戸黄門以来の身なりは卑しいが実はすごくえらい人とか。著者はそれが、日本人が真摯にテレビドラマと向き合ってきたからだ、とかわけのわからないことを言うんだけど、その手のお約束はアメリカのドラマにだってガーナのドラマにだってある。人々がそれを受け入れるのは、多少は時代背景もあるけど、その分析は特に大したものじゃない。扱うドラマの幅も実に狭いし、分析もゆるい(というよりないも同然)。この程度で大学教授がつとまるのか、というほうがオドロキ。ま、 ろんなパターンを出されて「あ、あるある!」と思って読み捨てる本。

(出典:ブログ「山形浩生の「経済のトリセツ」」2011年7月14日)


死体入門、哲人の色欲, しあわせ, 働かないアリ

■[メディアファクトリー]藤井司『死体入門』

死体入門 (メディアファクトリー新書)死体入門 (メディアファクトリー新書)
(2011/02/28)
藤井 司

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死体入門 (メディアファクトリー新書)
• 作者: 藤井司
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昨日、三連発で悪口(でもないんだが、あまりほめてはいない)書評を並べたけれど、今日のこれはおもしろい! タイトル通り、法医学者が死体のあれこれを並べた本で、中身的には昔ぼくが書評した、 Death to Dust: What Happens to Dead Bodies と同様(ただしあっちは五百ページもある本でこっちは新書だから中身的には薄くなる)。あっちは、法医学者がもっと臓器提供をしてもらおうというのを基本的な動機として書いたもので、こっちは法医学者が、もっと死体に興味をもってもらおう、関連分野の学生を増やそう、という動機で書いている。だから、おもしろいネタをいろいろ集めようという熱意がみなぎっているし、九相詩絵巻をカラーで載せたりとサービス精神も旺盛(ぼくもちゃんと見たのは初めて)。
小著ながら、知らなかったネタも満載。特に驚いたのは、よく推理小説なんかで、青酸カリでだれかが殺されると「アーモンドのにおいがした」と書かれるけれど、あれはみんなの思ってるアーモンドの匂いじゃないんだって! みんなが想像しているのはローストしたときの香りで、青酸の匂いというのはその前の、生の実の状態のにおいだから、全然ちがうんだって。あとは、うんこずわりができるかどうかは、慣れの問題ではないとか、あれやこれや。
その他、Soap ladyの話とかも出ている。著者にはいつか、フィラデルフィアのムター博物館を訪れて訪問記を書いてほしいところ。
それにしても、法医学関連の学生は減ってるのか。テレビドラマのCSIやBonesやパトリシア・コーンウェルの小説なんかで、結構認知されて人気が出てるのかと思っていたよ。
一度出た本を、更新して新書にしたとのこと。いったん世間のフィルターにさらされて市場の審判を経ているだけあって、よい本。スプラッターホラーなんかで喜ぶようになった中高生あたりからおすすめ。
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■[メディアファクトリー]長谷川英祐『働かないアリに意義がある』

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
(2010/12/21)
長谷川 英祐

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働かないアリに意義がある(メディアファクトリー新書)
• 作者: 長谷川英祐
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前に、同じようなタイトルの「働きアリの2割はサボっている―身近な生き物たちのサイエンス」を見たら、サボっているという話だけを紹介してその理由は説明してくれず、とても不満だった経験があり、これもそういう本かと思ったら、ちがった。ちゃんとサボるアリの意義を説明してくれる。
それ以外にもアリの巣の創発性や機能分担、フェロモンの働きから、血縁淘汰と群淘汰論争なども紹介。というより後半三分の一で、血縁淘汰と群淘汰の話だけを整理していてびっくり。安易に小ネタ紹介しとけばいいや、という甘い考えの新書とは一線を画す本だとわかる。
ちなみに最後(p.184)にある、教科書や本は、何が書いてあるかよりも何が書いていないかを見ないとだめ、という著者の意見にはハゲ同。これは著者のいうような研究者だけでなく、ふつうの本を読む場合でも、それ以外のときでもまったく同様。
この本はこのシリーズの中でかなりよく売れているそうだけれど(手元にあるものですでに6刷)、すばらしいこと。八割のアリは働かないという話についてみんなが思う疑問に答えたうえで、もっと重要な話につなげてまとめる。アリなど社会性昆虫の話でもあり、また進化論の深めの話にもなっていて、利他行動その他についても学べるし、非常にお買い得で勉強になるよい本*1。
そういえばこの本、なんか記憶があると思ったら、昔shorebird書評でとりあげられていて、中身がおもしろそうだったので読もうと思ってたんだよね。そこでもほめられているとおり、進化論的にもまっとうで凡百の誤解ダーウィニズム本とはレベルがちがう。
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*1:な お、昨日酷評した本ばかりで今日はほめてる本ばかりになっているのは、昨日はまず山をさっさと減らしたかったので、よしあしをすぐ判断できそうな安易に見える本を率先して選んだから。予想通り、安易に見える本は安易な読み捨て本だった。アリと同じ(いやそれ以上)で、本も七割以上は無意味。送ってもらう時点でフィルタはかけるけれど、それでもタイトルだけ見て送ってもらう本の半分は捨て本。これは朝日の書評でも同じこと。

(出典:ブログ「山形浩生の「経済のトリセツ」」2011年7月15日)



ピンチョン「逆光」を読む, いなかの家

■[メディアファクトリー]コンタロウ、三星雅人『田舎の家のたたみ方』

田舎の家のたたみ方 (メディアファクトリー新書 27)田舎の家のたたみ方 (メディアファクトリー新書 27)
(2011/06/29)
コンタロウ、三星雅人 他

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田舎の家のたたみ方(メディアファクトリー新書27)
作者: コンタロウ,三星雅人
出版社/メーカー: メディアファクトリー
発売日: 2011/06/29
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田舎に家を残してあるとき、はやめに処分方法を考えておいた方がいいよ、という実用本。貸すにしても売るにしてもいろいろ問題はあるし、放置するとさらに問題が拡大するし、まあ家族で一度話し合うべき、というのはその通り。細かい中身の正否については、判断つきかねるけど、関心のある人には参考になるのでは?
ただ非常に厳しいアマゾンレビューにも言う通り、住宅地の家よりは山林の処分が中心になっている。また「結局、あまりよい処分法はない、ということのようです。活用法は、もっとないようです。」というのは手厳しいが、実際にあまりよい処分法はないからなあ。それを本に対して文句いってもなあ。 親族みんなに読ませて、高値で売れるとかいう甘い期待をだれにも抱かせないようにするとか、使い道はあると思うね。

(出典:ブログ「山形浩生の「経済のトリセツ」」2011年7月16日)



イラン革命防衛隊

■[メディアファクトリー]ドライヴァー『FBI式 人の心を操る技術』

FBI式 人の心を操る技術 (メディアファクトリー新書)FBI式 人の心を操る技術 (メディアファクトリー新書)
(2010/06/29)
ジャニーン・ドライヴァー

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FBI式 人の心を操る技術(メディアファクトリー新書)
作者: ジャニーン・ドライヴァー,高橋結花
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特にボディランゲージ中心に、人の考えていることを見破って本心を引きだそうという本で、FBIも使ってる技術だそうな。で、そのボディランゲージを使うことで、デートとか交渉ごととかでも、話を自分に有利なほうにもっていけるよ、という実用本。ふーん。ボディランゲージ本としてはそれなりにおもしろいのでは? これはそのまま日本でも通じるのですか、とか、ボディランゲージはどこまで偽装できるんですか、とか疑問はわくけれど、話のタネにはなりそうだし、トンデモなことも書いていないので、相手に体を向けるとか話をきくようにするとか、書いてあることを少しやってみてもバチはあたらないと思う。でも原著
You Say More Than You Think: Use the New Body Language to Get What You Want!, The 7-Day Plan は240ページあるはずなので、これってかなり端折った訳なんじゃないかと思うんだけど、ちがうのかな?

(出典:ブログ「山形浩生の「経済のトリセツ」」2011年7月18日)


革命と独裁のアラブ、あなたがメディア、人口減少

■[メディアファクトリー]鬼頭宏『2100年、人口三分の一の日本』

2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)
(2011/04/28)
鬼頭 宏

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2100年、人口3分の1の日本(メディアファクトリー新書)
作者: 鬼頭宏
出版社/メーカー: メディアファクトリー
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日本の人口減少とその影響概観としては結構よい本だと思う。冒頭で、2010年国勢調査で人口が減る……と思ったら実は減りませんでした、という話になっているのは、著者としては当てがはずれて残念でした、というところ。でもまあ今後の減少トレンドは確実で、それに伴う高齢化は当然避けられない。すると、それを支える側もつらいので、まず年寄りを働かせよう、女ももっと働かせよう、ということになる。地方部は歯抜けで手がつけられなくなるから、市町村合併後、もっとつぶすところはつぶして居住地をまとめろ、あとは国内で閉じるのは無理だから外国とのいろんな取引や交流を増やせ――基本はおっしゃる通り。
最後あたりの各種提案は、思いつきの域を出ないものも多いが(新しい文明像を、とか)、重要な論点は一通りカバーしていると思う。こないだ触れた、「田舎の家のたたみ方」のテーマとも関連した話で、ここらをうまくつなげられるといいんだろうけど。たぶん私権制限の議論をしなきゃいけないんだろうね。10年以上放置してある山林や家屋はもう没収とか。あと、20までは選挙権やらないのと同様に、70過ぎたら選挙権剥奪とか。が、むずかしい話。(それにこの本自体の中身とは無関係)。
このシリーズでこれまで見てきた本ほどはお手軽な本ではない。腰を据えて読んだほうがいい。暗澹たる気分にはなるだろうけれど。

(出典:ブログ「山形浩生の「経済のトリセツ」」2011年7月21日)


■山口浩さん■

地震で「働かないアリ」を思い出したので

長谷川英祐著「働かないアリに意義がある 」メディアファクトリー新書、2010年。
働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
(2010/12/21)
長谷川 英祐

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売れてるそうなので読んだ方も多いと思うが、社会性昆虫の研究者による一般向けの本。しばらく前に読んだのだが、地震の後ちょっと思い出すことがあったので。
アリやハチなどの真社会性生物の習性が面白いという話は比較的よく知られていると思う。中でもよく聞くのは、「働きアリの2割は働いていない」って いう話だ。で、その2割の働かないアリを群れから取り除くと、また残ったアリのうち2割が働かなくなる、といった話が続く。よく働く奴とふつうの奴と働かない奴で2:6:2だ、という話も聞いた。とはいえ、実際に目にするものは専門家じゃない人が伝聞で書いてるものが多くて、いまいちあてにしにくいな、と 思っていた。(以下の文章もまさしく「専門家じゃない人」である私が本を読んで書いてる話なので、関心のある方はぜひ本書で確かめていただきたい。)
本書は、その真社会性生物の研究者によるものなので、その点はばっちりなわけだ。真社会性生物は、別に昆虫に限られない。ネズミとかエビとか粘菌とかにもそういう性質を持つものがあるらしい。この種の生物は、ふつうの生物のように自分の遺伝子を残す確率を高める戦略をとるのではなく、一部の(しばしば大多数の)個体は自らの子孫を残そうとしないし、さまざまな局面で見事な連携プレーを見せる。そうした「協力」関係がどうして発生するのか、どういうし くみで協力がなりたつのか、というあたりが研究者として面白いらしいが、もちろんこれは、素人目に見ても相当面白い。
特に、組織とか集団とかのマネジメントをふだんから考えている人にとっては、「!」を連発したくなるほどだろう。もちろんアリと人間はさまざまな面で大きくちがうわけだが、そこで働いているメカニズムには、種を超えて共通する要素がある。著者はこの点を意識して書いてくれているので、考える材料には事欠かない。
あちこち面白くて面白くて叫びたくなるくらいで、逐次挙げていくと全文丸写しになりかねないので、ブログにも書きづらかったのだが、今回の東日本大震災、というかその後に発生した状況を見ているうちに、この本のことを思い出したので、その関連で特に興味深かった点だけ書いておくことにする。
それは、この本のタイトルにもなっているが、「働かないアリ」が出てくるしくみと、そのことが集団にとって持つ意味だ。そもそも例の「2割のアリは働かない」という話だが、あれは、「約2割のアリは一生働かない」ということらしい。ある瞬間でみると、働いているのは全体の3割ほどで、残り7割は休んでいるのだ、と。アリというと働き者のイメージがあるが、私たちが見ているのは地上に出てきて働いているアリであって、巣の中には働いていないアリがもっとたくさんいるというわけだ。で、アリを個体ごとに(!)観察していくと、2割のアリは一生労働らしきことをしないまま過ごす、と。
私たちはつい「働かない」というと意欲とか機会とか、能力とか公平とか、人間の社会に引き寄せて考えてしまいがちなわけだが、アリの世界にはそんな理屈はもちろん通用しない。ある個体がある仕事をするかしないかは、ある時点での分業や協業の結果でしかない。もとより厳しい生存競争にさらされている彼らにとっては、あるやり方がその個体、そのコロニー、その種全体の生存や存続の確率を高めるかどうかだけが重要であるわけだ。もちろん、彼ら自身がそう考 えているというわけではなくて、自然淘汰の結果そういう性質を持つようになったということ。つまりここで重要なのは、それが「勝ち残ったシステム」ということだ。
そして、観察していると、実際アリたちは集団の中で見事な分業と協業をしてみせるわけだが、別に誰かが司令塔になって指揮しているわけではないらしい。接触刺激とフェロモンによる最低限のコミュニケーションはあって、先を行くアリを触覚で触りながらついていったり、他のアリが残したフェロモンを道しるべにエサまでたどりついたりはするのだが、基本的には局所的に、その場その場の状況に応じて、プログラムされた習性と、小さな脳で学習した知識とに基づいて行動しているのだ、と。
で、これを成り立たせているのが個体差である、というのが、私が本書で最も面白く感じた点だ。ある刺激、ある情報に対してどのくらい敏感に反応するかは、個体によって差がある。より敏感な個体はより小さな刺激で早めに反応し、鈍感な個体はなかなか反応しない。したがって、その場でやるべき仕事が少なければ、敏感な個体だけが反応し、仕事がたくさんあれば、より鈍感な個体も含めた多くが反応する、というかたちで、作業にあたる個体の数が調整される。こういうのを「反応閾値モデル」と呼ぶらしい。
巣の中で働いていないアリは、怠けているのではなく、動作が遅いゆえに仕事にありつけないだけだ。それが続けば、一生をそうして過ごすことになるのだろう。人間だといろいろめんどくさい議論が巻き起こるところだろうが、アリは公平とか自己実現とか考えたりはしないから、働いていても、働いていなくても、幸せでも不幸でもない。
仕事をしたくなくてしていないわけではないから、結果として彼らは、突発的に生じるかもしれない仕事に備えて「待機」している状態であるわけだ。だから、刺激が大きくなって、つまりそのそこで仕事をする必要が高まってくれば、自然と働き始めることになる。複数のやるべき仕事があれば、そのうち刺激の強いほう、つまり必要度の高い方にとりかかる。
また、ミスをする個体にも価値がある。エサを見つけたアリは、接触刺激やフェロモンを使って、他のアリをそこへ誘導するわけだが、中には道をまちがうドジなアリがいる。しかしそうしたドジなアリがより効率的にエサまでたどりつけるルートを発見したりすることもあって、全体としては、そうしたアリが一 部いたほうが、エサをうまく集められるらしい。
こうした多様性は、集団としての存続可能性を高める。皆が同時に反応するようなコロニーは、単位時間当たりの労働量が大きく、効率がいいが、同じタイミングで疲労して休んでしまうので、たとえば卵の世話をするといった、ずっとやり続けなければならない仕事があると、長く存続できないということを、著者らはコンピュータシミュレーションで導き出した。一見非効率とみえるムダを内包した集団の方が安定している、というわけだ。
ここから先は、自分の感想。
組織の「ムダ」の効用というのは、割とその界隈の人たちには広く知られている。この本に出てないだけなのか研究がなされていないのか素人なので知らないが、少なくとも経営学の分野で「ムダ」の価値が高まるときといえば、典型的に思い浮かべるのは、環境の不確実性が高い場合だ。上の例でいえば、対処すべき新たな事態がどんどん出現する状態、ということになろうか。そうした場合、手が空いててすぐ動ける個体がいることは、集団としての事態への対処能力を高める。もちろんアリは人間と比べてはるかに脳が小さいしシンプルなことしかできないわけだが、人間にとって人間の置かれた環境が充分複雑であるのと同じように、アリにとってアリの置かれた環境は充分複雑なのだろうから、似たようなことはいえるのではないかと想像する。
アリと人間が同じだといいたいのではない。しかし直面している問題の構造がほぼ同じであれば、アリの研究から得られる知見にも、人間にとって役立つ原理が含まれているかもしれない、というぐらいはいえるのではないか。あ、「働かないアリに意義がある」からといってニートにも、とかそういう安直なことをいうつもりはないので念のため。それはまた別の要素がある。いいたいのは、もう少し抽象的なことだ。
アリも人間も、誰かの指示ですべて決まるのではなく、個々の主体が現場で判断し動くことが求められる程度には複雑で不確実性の高い環境で生きていかなけれなならない。全員が均質で、まったく同じ行動パターンしかとれないと、全員が同じまちがいを犯すおそれがあり、結果として集団を大きな危険にさらすことになってしまう。同じような反応閾値モデルがあてはまるとされるミツバチは、巣の中の温度が高くなるとハチたちが羽ばたいて空気を入れ替える習性があるが、反応閾値が似た個体だけを集めるときめ細かい温度調節ができない、という研究もあるらしい。同質性が高い集団では、刺激への反応が極端になってしまいがち、ということか。
一方、多様な個性が混在し、一定水準のムダを許容するようになっていると、非効率が生じるという欠点はある。しかし、全員が一度にまちがったり、一度に動けなくなったりするリスクを減らすことができ、結果として集団全体の生存可能性を高めることができる。
もちろん、すべてがまったくばらばらの自分勝手でいいというものでもない。全員が従わなければならない共通のルールは当然あるはずだ。アリならそれは遺伝子に組み込まれた習性などであろうし、人間ならそこに一定レベルの教育や、社会や制度が要求するルールなども含まれるだろう。なんでもそうだが、要はバランスなのだ。そして、少なくとも人間の社会では、そのバランスも時によって変わっていくはずだから、常に調整を続けていかなければならないのも当然。
もともと日本は、集団内の同調圧力が強い文化の国だ。今ふうにいえば「空気」だろうか。当然、それに対抗して自己主張したり個性を認めようとしたりする動きもあって(あるいは最近は「個性を持たなきゃ」という同調圧力もあったりするのでややこしいがそれはおいといて)、いろいろせめぎあいがあるわけだが、何か大きなできごとがあると、それが一気にひとつの方向へ向いやすくなる。
今だとそれは、「自粛」ムードであったり、「不謹慎糾弾」ブームであったり、あるいは「沈痛な表情」競争であったり「全国民一丸となって復興がんばろう」大会であったりするだろうか。もちろんそういう気分になって当然という状況の方がたくさんいらっしゃって、そういう方をどうこういうものではもとよりない。現在はどうみても特殊な状況である以上ある程度は当然だし、そもそも同調圧力は別に日本に限った話でもないし。
ただ、この本を読んだことを思い出したのは、今こそ私たちは、多様性の力をより明示的に意識することが必要なのではないか、と思ったからだ。さまざまな立場の人がいて、いろいろな考え方がある。やり方はたくさんあるし、目的すら1つではない。「たくさんの人が苦しんだり悲しんだりする状況から脱したい」という点では最低限合意できるとしても、そのためにどうするかにはいろいろな道があるはずだ。皆で力を合わせなければならないことについては同意する が、ではちがう考え方をする人の足をひっぱっていいのかという点に関しては、少しだけ慎重でありたい。
かつて本田宗一郎が通商産業省の意向(つまり国策だ)に屈していたら、今世界第7位の自動車メーカーは存在しなかったかもしれない。今被災地の物流 を支える物流業界の雄はたびたび事業拡大のため運輸省(それは業界の声を少なからず反映していた)と衝突を繰り返した。いわゆる「クール・ジャパン」の基礎となったのは、社会の良識派が「俗悪」として嫌悪し、たびたび糾弾した人たちだ。同じようなことが、今どこかで起きているのかもしれない。今批判されたり嫌悪されたりしている人たちが、実は今後社会をよくするためのカギを握っているかもしれない。一見ムダな「働かないアリ」に意義があるように、一見社会にとって有害にみえる考え方にも「意義」があるかもしれない。そういう発想を、少なくとも頭の片隅には置いておいたほうがいいのではないか、と思う。
批判をするな、とまでは思わない。意見を持つのは当然だし、議論はしたほうがいい。ただ、多数が正しいとは限らないよ、ということは意識しておいたほうがいいと思う。少なくとも、社会の方針決定に関与している人たち、社会をリードする立場にある人たちは、明示的に意識しておくべきではないだろうか。

(出典:ブログ「H-Yamaguchi.net」2011年3月19日)

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