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企業家たちの幕末維新

企業家たちの幕末維新 (メディアファクトリー新書)企業家たちの幕末維新 (メディアファクトリー新書)
(2012/12/28)
宮本又郎

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■橘川武郎さま■
(一橋大学大学院商学研究科教授、経営史学会会長。
 著書に『出光佐三 借金の奴隷たるなかれ』(ミネルヴァ書房)などがある。)


 現在を生きる日本の企業家は、先達たちが国難打開の先導役をつとめたのと同様に、「失われた20年」と呼ばれる経済社会の長期低迷を打開するリーダーとなりうるのだろうか。幕末維新期をテーマとした本書を読んでまず思いつくのは、1世紀半を経た今日の状況に対するこのような疑問である。

 本書は、「上からの資本主義化」として語られることが多い日本の近代化過程について、政府の役割を過度に強調すべきではなく、民間の企業家たちの役割を正当に評価しなければならないと強調する。そして、明治日本を形作った企業家を五つのタイプに分け、それぞれを代表する人物の活躍ぶりを簡潔かつ的確に描き出してゆく。

 第1のタイプは豪商の生き残りであり、幕末維新期の経営危機から三井家と住友家を救った三野村利左衛門と広瀬宰平、その三井と住友を近代的な財閥に変身させた中上川彦次郎と伊庭貞剛に目を向ける。これに対して、財閥化を果たせなかった鴻池家の鴻池善右衛門は、失敗の事例とみなされる。

 第2はベンチャー企業家であり、本書が最も分厚い記述を展開しているタイプである。岩崎弥太郎と彼のあとを受けて三菱を大財閥に育て上げた荘田平五郎、銀行王・安田善次郎とそのパートナーとなった事業王・浅野総一郎、「死の商人」と呼ばれた果敢な政商・大倉喜八郎、主として関西で活躍した藤田伝三郎・松本重太郎・岩下清周など、時代の申し子となったキラ星のようなメンバーが並ぶ。

 第3の技術者出身の企業家としては、ともに綿紡績業界で活躍した山辺丈夫と菊池恭三、第4の社会的企業家としては、キリスト教精神で郡是製糸を創業した波多野鶴吉に、それぞれ光を当てる。そして、第5の財界リーダーとして取り上げるのは、東の渋沢栄一と西の五代友厚である。

 本書によれば、わが国が大きな国難に直面した幕末維新期に難局を打開し、近代化への道を切り拓いたのは、武士・商人・農民という階級区分におさまり切れない「限界(マージナル)階層者」の出身で、「社会のため」「国のため」という価値観や、リスクをおそれないアニマル・スピリット(血気)をもった企業家たちであった。そのような企業家たちは、今日の日本に存在するだろうか。経済史・経営史の第一人者が執筆した本書は、現在われわれが直面する問題に目を向けさせる優れた歴史書である。

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